よく言われることとして、インパクトでは左サイドの壁をつくるという言い方があります。
ですが、それは飛距離はおろか精度という点からも、逆効果なんです。なぜか?
◆左サイドの壁の落とし穴
左サイドの壁は、飛距離はおろか左への引っかけなどを誘発してショットの精度も悪くなるのです。
では、インパクトに向かって左脚はどのようにすればよいのでしょうか。
◆左脚で地面を蹴る
それは、左脚で地面を蹴ることです。
しかも、単に蹴ろうとするだけではありません。
落下した反動で上向きで振り出し後方斜め後ろ45度方向に蹴ります。
左サイドに壁をつくるというイメージでは、左脚に乗って左に流れないように踏ん張ることになります。
それでは、左脚に乗って地面を踏もうとするだけで、落下した反動での蹴りのイメージは湧いてこないために
腰を鋭くターンさせることにつながりません。
そして、腰のターンが本来の腰の回転力ピークになるはずのタイミングより
早いタイミングで止まると、クラブのリリースタイミングも早くなってヘッドも返ってしまいます。
それでは、当たり負けでヘッドの向きの変化が大きくなって曲がりやすいとかボール初速もあがらないとか、
さらには左へ引っ掛けることにもなります。
本来は通常の可動域では腰は左に45度程度ターンしたところで回転力のピークになり、手元も左股関節前ぐらいにきて
クラブがリリースされることが理想です。
そこで、走り高跳びをイメージしてみましょう。
ジャンプする直前に蹴り出す脚に落下してその反動による爆発的なジャンプ力を利用して、
想像を絶するパワーを発揮して高く飛び出します。
ゴルフでも同じように脚を使って腰の回転力の本来のピークになるまで
しっかり回転させてスイングできたら、どんなにパワフルにボールを飛ばせるでしょうか。
◆右脚で蹴ろうとする問題
そして、左脚への落下による反動を使えなくする問題は右脚にもあります。
多くのゴルファーではダウンスイング開始で手で振らないで脚で動こうとすると、
脚を使って腰を回そうとして右脚で地面を水平に蹴って腰を水平方向へターンさせようとします。
そうすると、右足が滑らないで蹴るために右脚に落下しようとして、
左脚への地面からの圧力は高まらず左脚への落下での反動は使えません。
本来は右脚の地面への圧力をゼロにすることで、姿勢制御の働きで左脚で落下を食い止めさせることが
左脚をバランスよく使って落下の反動で蹴り返すために大切です。
また、右脚へ落下したとしても右脚は地面に対して水平方向へ力を発揮しようとしているので、
脚を縦方向へ使うのではなく水平方向へ引き付ける動きになります。
それでは落下での姿勢制御の仕組みによる脚の縦方向への爆発的な力は出せません。
右脚で自ら出そうとする力でがんばって蹴っても、左脚の爆発力には到底及びません。
左サイドの壁どころではなく、まさに左に落下した反動を使って蹴ることでパワフルにボールを飛ばしましょう。
◆左脚を蹴る方向
そして、トップから左脚へ落下したタイミングで左脚を蹴る方向の意識は、
腰のそれまでの前傾角度を保ったまま鋭くターンさせるために重要です。
その方向は上向きには左後ろポケットが向いている方向で、水平面では振り出し後方の斜め後45度です。
水平方向については、野球のホームランで理想的に振れたときの右打ちなら左脚の蹴りの向きが参考になります。
左にステップインしてその反動で左脚を蹴り返しています。
通常の可動域での理想的なインパクトでは、腰は左に45度程度ターンしたタイミングとなります。
そこで、左脚に落下した瞬間にこのインパクトでの腰の向きになる方向へ蹴り返し、
左サイドに大きなスペースをあけて手元を通過させるイメージにしましょう。
また、左足に落下するときに左つま先を45度ぐらい開いておけば、
振り出し後方の斜め後45度方向へ素直に蹴ることができます。
◆ジャンプ力を発揮させる仕組み
ところで、地面に落下した反動を利用するとは、どんな仕組みを使うことになるのか詳しく見てみましょう。
トップからは右脚の地面への圧力を抜けば体は落下するので、
自然な人の姿勢制御能力でそれを支えようとすると残された左脚で落下を止めようとします。
この動きはまさに走り高跳びで左脚に最後の一歩を踏み出して、ジャンプする動きになります。
そして、左脚への落下で左脚は曲げさせられる力を受けて、お尻の大きな筋肉である大臀筋などが伸ばされます。
伸ばされた筋肉には脊髄反射で収縮しようとして、筋肉は伸ばされながら収縮しようとする「伸張性収縮」の状態となります。
「伸張性収縮」では自ら力を出そうとして筋肉を短くしながら収縮させる
「短縮性収縮」での力よりも1桁以上大きな力を発揮でき、スピードが速いほどその差は大きくなります。
これが人の姿勢制御で速い速度で大きな力で体の姿勢をコントロールするための体の仕組みです。
階段を1段下るときには、着地する脚には瞬間的に体重の10倍にもなる力が発揮されて落下を支えています。
そんなにも大きな力が誰にでも出せる仕組みが体には備わっているのですから、
その秘められた力を最大限に利用してボールを飛ばしたいものです。
さらに、「伸張性収縮」で強く収縮しようとする筋肉は、
筋肉が骨につながる部分にある硬い腱までも伸ばしてしなりのエネルギーをためます。
筋肉と腱に大量にたまったしなりのエネルギーを一気に解放して爆発的にジャンプしているのが、走り高跳びで発揮されている仕組みでもある
「伸張短縮サイクル」です。
力を一旦受けてそれに耐えようとしながら力を受けた方向へ押し戻すように
体を使えば、「伸張短縮サイクル」を最大限に利用して能力限界までのパフォーマンスを発揮できます。
◆右脚の蹴りではスイングは複雑化
また、ダウンスイング序盤から右脚で蹴ろうとすると、右股関節は伸びる方向へ動きます。
これは、まさに右サイドが伸びあがっていることになります。
そして、ダウンスイングのできるだけ早い段階で手元がインパクトの面に乗るほど
スイングは簡単でヘッドの加速に集中できます。
となると、ダウンスイング序盤では手元を下に向かって落とせるほどよいことになります。
ところが、右股関節が伸びていては手元は下向きに動きにくくなり、
インパクト面に乗るタイミングは遅くなってその分スイングは難しくなります。
さらに、ボールを飛ばしたいならトップからヘッドを加速することが重要です。
トップから振るというと手で振るイメージになりやすく、それではヘッドは思ったほど加速できません。
体重と腹筋を使ってグリップエンドを下に向かって振ります。
そうしようとしたときに、右脚で地面を蹴ろうとして
右股関節が伸びていては体重はおろか腹筋も導入できません。
右脚で蹴りながらクラブを振ろうとすると、まさに手の動きを使ってしまいます。
本来は左に落下する体重と腹筋を目一杯使って、
グリップエンドを引っ張ってくるようにしてクラブを加速させます。
そうすればトップから長く加速できて、ヘッドスピードを限界まであげることができます。
左サイドの壁ではなく左脚にしっかり落下して、その反動を使って蹴りましょう。