今回は「タッチを確定する極意」というお話をさせていただきます。
アプローチショットで楽々ワンパット圏内に寄せる絶妙なタッチがコンスタントに出せたら、ゴルフはものすごく楽しくなります。
距離感であるタッチはロフトと振り幅で決めることも多く聞かれることですが、実はもっとヒトの本来の能力を使える方法があります。それは。。。
(続きはビデオにて)
■タッチの要はスピードをイメージ
それは、ズバリ言って打ち出すボールのスピードをイメージすることです。
誰でもゴミ箱にゴミを放り投げて入れようとするとき、そこそこ上手く入れられたり入りそうな距離まで運べるものです。
そんなに練習しているわけではないのに、大外しにはなりません。
小脳がシミュレーションして神経に伝達するべき必要な信号を決めてくれるので、それに素直に従えばそれほど外れません。
道路を横断しようとしたとき、車などの速さで安全に渡れそうかイメージで判断しますが、そんなときに小脳が大活躍しています。
クリーンヒットさせてファーストバウンドをグリーンに落とし、今のところからターゲットまでボールを運ぶためのボール初速をイメージします。
落下地点の状況をできるだけ正確に判断して、小脳が動きを予測できる状況でのショットにすることがタッチのための要です。
ちなみに、ラフなどはタッチを合いにくくするペナルティとなっているので、ラフに入れないこともタッチのためにはつきなみですが大切です。
■具体的なタッチの出し方
ヒトの能力の使い方がわかったところで、では実際にはどのように動けば良いのか見てみましょう。
必要なボール初速を出すためのヘッドスピードをイメージして、そのヘッドスピードを出す素振りを行います。
そして、ヘッドスピードの調整はセットアップでのスタンスの幅で行えば、一番簡単で再現性が高くなります。
スタンスの幅を広くするほど股関節がたくさん入るので、脚の可動域をより多く使えて振り幅が大きくなります。
スタンスの幅を変えながら素振りしてイメージに合致したヘッドスピードが出せるスタンスの幅を決めて、本番ではそのスタンスの幅でセットアップに入れば良いです。
ただし、スタンスの幅に振り幅が連動してヘッドスピードが確定できるためには、注意しなければならないことがあります。
それは、決めたスタンスの幅の中でしっかり脚を使い切ることと、手で出来るだけ振りにいかないことです。
まずはバックスイングで、できる限り手元を上にあげないようにしようとすれば良いです。
そのためには上半身では親指側に折れるコックだけは自ら意識的に曲げる力を出しますが、その他は受ける力だけにします。
受ける力とは、脚の動きで体幹がターンすることに対してヘッドが置いていかれない程度のギリギリの力を出すことです。
ヘッドから遠いところから順番に動けば、受ける力だけでの動きが簡単にできますからやってみましょう。
また、コックの入れ方としては、力で入れようとすると入れすぎになったりします。
バックスイングでヘッドを振り出し後方へ真っ直ぐにできるだけ低く出しながらフェースをボールに向けていようとすれば、ちょうど良い具合にコックが入ります。
試しにヘッドを真っ直ぐに動かしながらバックスイングして脚を使い切ったところで止めて、下半身だけセットアップのポジションに戻してみます。
そうすると、上手くバックスイングできていれば、コックだけが案外多く入っていることがわかります。
そして、バックスイングで右膝が伸びきるまで脚を使い切るまでヘッドを真っ直ぐに動かす意識にすれば、振り幅に応じたちょうど良いコックが入ります。
ここで、右肘を力で曲げるなど、コック以外で受ける力以上の力でクラブを上にあげようとしてしまうと、スタンスの幅に連動した振り幅にならずタッチが合いません。
脚を使い切ったところで、それまでのヘッドの勢いで右肘が押されて曲げさせられてトップとなる意識が良いバックスイングにとって大切です。
また、スタンスの幅が腰の幅でのヘッドスピードよりも落としたい場合には、スタンスの幅は腰の幅のままで動く速さを遅くすれば良いです。
ヘッドや体を動かす速さなら、小脳が大活躍してくれます。
スタンスの幅にヘッドスピードを連動させるとか、動きの速度をイメージすることで、セットアップでタッチを確定させましょう。
■手では再現性を高くすることは難しい
手先などには多くの神経がいき渡り、脳の中でも広い領域に渡って手のコントロールに関連する領域が存在します。
ところが、手に比べて脚は、筋肉量の多さに対してそれほど脳の中のコントロール領域が多いわけではありません。
このような生理学的な理由もあり、手に比べて脚はある意味不器用です。
え、不器用、ならば使わないほうが良いのではなんて言っていませんか。
しかし、不器用なほど同じ動きしかできないわけですから、脚では逆に動きの自由度が少ないことになります。
そして、この動けるバリエーションが少ないことは欠点ではなく、利点になります。
さらに、ゴルフのセットアップで骨盤を前傾させてクラブを持った状態での下半身の動きを見てみると、かなり決まりきった動きしかできません。
確かに、バックスイングで手なら本当にいろいろなところにクラブを運ぶことができますが、脚の動きだけだと動ける範囲はかなり限定されます。
そうなると脚のほうが手先を使うより再現性の高い動きができ、しかも手先よりも力が強いので脚をできるだけ使った方がお得です。
多くの練習を積むなら、自由度が高い手先を使っても再現性は高度に発達させることもできます。
しかし、ツアープロ並にはなかなか練習できません。そうなると手先よりも脚を使って動く方が簡単です。
■スタンスの幅は狭くても腰幅まで
腰の幅よりもスタンスを狭くしてしまうと両脚でできる形は逆三角形となり、通常のショットの形とは異なることになります。
そして、逆三角形の脚の形では、バックスイングでは腰を振り出し方向である左へシフトさせなければなりません。
また、ダウンスイングからボールヒットにかけては腰を振り出し後方である右側にシフトさせなければ左脚で地面を縦に踏むことができません。
腰の幅のスタンスなら、バックスイングでは右脚をいきなり地面に対して縦に伸ばせば、右脚で地面をしっかり踏むことができます。
そのため腰の幅程度のスタンスの幅でショット練習を積み重ねることで、右脚で地面を縦に押して伸ばす動きが小脳にプログラムされて体は自動的に動くようになります。
そして、右脚がバックスイングで地面を縦に踏むことを覚えたなら、スタンスを広げていっても右脚でまっすぐに地面を踏もうとします。
結果として右脚で地面を真っ直ぐに踏めるところまで、腰は振り出し後方へ勝手にシフトしています。
これは、体重移動しようとしての結果ではなく、右脚で地面を真っ直ぐに踏もうと本能的に動いた結果となります。
これなら腰の右への動きは過不足なく行われ、バックスイングでしっかり右脚の動きで腰が右にターンし始めることができます。
同じことは、ボールヒットに向かうタイミングでも発生し、ダウンスイング開始では一旦両脚で地面を踏もうとする形になります。
そして、一旦両脚で地面を踏めたところから両脚でパワーを出し始めます。
両脚で地面を踏んだら次に左脚で地面を真っ直ぐに踏もうとして、左脚で地面を真っ直ぐに踏めるところまで腰は振り出し方向である左方向へ勝手にシフトしてきます。
このボールヒットに向かっての腰の左シフトは、体重を移動しようとするのではありません。
左脚で地面を真っ直ぐに踏もうとすることで、左に動きすぎて地面を縦に踏めないスウェイや、左に動き足りないでやはり地面を縦に踏めないスピンアウトにもなりません。
このように通常ショットでの下半身の動きで自動的に良い地面の踏み方ができるためにも、腰幅のスタンスでしっかり左右の脚で地面を縦に踏む動きを覚えたいものです。
そして、脚を地面に対して縦に伸ばす動きで腰が勝手にターンして、フィニッシュでは腰はフルターンさせることがシンプルで再現性が高いショットのためには大切となります。
スタンスの幅や動きの速さのイメージというスイングを始める前に確定できることを基にして、安定したタッチや方向性を手に入れてショートゲームを楽しみましょう。
■小脳の驚くべきこと
そして、驚くことに小脳は大脳の大きさの5分の1ぐらいですが、神経回路の数は5倍以上あります。
小脳の細胞数は銀河の星ほどもあり1000億個、神経同士の結合数は一つの神経細胞を見ただけでも20万、小脳全体では100兆と言ったオーダーの神経間結合が有ると言われます。
そんなにも想像を絶する数の神経やその結合があれば、動きの予測も易々とできてしまうことが納得できます。
タッチにとっても、ヒトの体に備わった凄い能力が使える状態にしてあげましょう。
では、また。
