上半身のパワー発揮のためには肩周りの関節を安定化させて、
大きな筋肉でパワーを出そうとしたときに関節に安全に効率よく力を伝えて動かすことが重要です。
そのために日頃からやっておくとよいことがあります。
それは。。。?
◆ローテーター・カフの強化
それは、ローテーター・カフ(回旋腱板筋)と言われるものです。
小さくて力は出せないけれど
肩の動きを本来のポジションで動かすために活躍する筋肉群を強化することです。
筋肉で言うなら棘上、棘下、小円、肩甲下筋をバランスよくしなやかでしっかり働くようにすることをめざします。
それによって、肩のくぼみに上腕の骨頭を安定に収めることができて、大きなパワーと高い精度での動きをサポートしてくれます。
ローテーター・カフは大きな負荷で強化するのではなく、
こんなに楽でいいのという程度の軽い負荷で動かすことで使える状態になります。
強い力を出そうとすると大きな筋肉が代償動作として働き、
肩甲下筋は大きいですがその他の小さな筋肉群で構成されているローテーター・カフは鍛えられません。
そこで、柔らかいゴムとして3本の輪ゴムをつなぎ合わせたゴムを伸ばすという、非常に軽い負荷でトレーニングします。
また、親指を上に向けて腕を外旋させた状態で腕をあげるフル・カンは、棘上筋に集中的に負荷をかけることができます。
そこで、具体的には次のようなトレーニングをやってみましょう。
トレーニング1(棘上筋):真っ直ぐに立って両腕を降ろし親指を体の外側へ向けておいて、両腕を体の真横で45度ぐらいまであげて戻します。
肩を上にあげないで、腕を横にあげていって(外転)止めて降ろします。
正しいポジションで丁寧におこなうことが、他の筋肉を動かさないまま棘上筋をしっかり活動させるために大切です。
トレーニング2(棘下、小円筋):
3本つなぎ合わせたゴムを中指に引っ掛けて両肘を直角に曲げて
両前腕を体の正面方向へ出し、上腕は体に付けたまま手首を動かさないで
上腕を左右に回転させるようにして手が体の外側に出る程度まで
ゴムを伸ばして戻します。
トレーニング3(肩甲下筋):3本のうちの2本のゴムを中指に引っ掛けて両肘を直角に曲げて
両前腕を体の正面方向へ出し両手をクロスにして、手が体の外側に出る程度までゴムを伸ばして戻します。
上腕は体に付けたのポジションをキープすることと、
手首を動かさないで上腕を回転させるだけにすることで狙いの筋肉群を正しく動かせます。
腕を体から離すようにして動かしたり手首を曲げ伸ばししていては、
ローテーター・カフを正しくきっちり動かせませんから注意しましょう。
ゴムは机の上やポケットなどに忍ばせておいて、気が向いたときにちょくちょくやるとよいです。
また、ゴムなどがないとか肩が痛いときなどの場合には、筋肉が長さを変えないで収縮しようとする等尺収縮収縮で
腕を固定した状態で力を入れることでも効果を出せます。
そこで、両手を組んで外側へ開こうとするとか、両手を合わせて内側へ押してもよいです。
どのトレーニングも1往復1秒で
ターゲットの筋肉や肩の内側がだるく感じることを目安に、30回ぐらいを2~3セットやりましょう。
最初は非常に軽い負荷で正しい動きを身につける意味でも、輪ゴム1本ずつをつなぎ合わせたものでやってみます。
そして、動きも完全になって30回やってもだるくもなんともないなら、
輪ゴムを2本とか3本束ねるなどで負荷を大きくしましょう。
弱い力で運動することは意味がないことと思いがちです。
しかし、大きなパワーを出す筋肉で正しく骨格を動かすためには、
関節を安定化させる筋肉群をバランスよく強化することは重要ですから地道にやりましょう。
◆肩周りの関節の仕組み
腕の付け根である上腕骨の端である骨頭は球状になっていて、
それが肩甲骨のくぼみ(関節窩)にはまってぐるぐる回ることで肩はさまざまな動きを行なっています。
この関節を肩関節(肩甲上腕関節)といいます。
そして、腕の丸い骨頭を肩甲骨のくぼにしっかりはめておいてくれるのが、
ローテーター・カフ(回旋腱板筋)と言われる棘上、棘下、小円、肩甲下筋です。
広背筋などの大きくてしなり戻りの爆発的パワーを
精度よく発揮させるためには、ローテーター・カフががんばって肩関節を安定化してくれる必要があります。
棘上筋は腕を上にあげる(外転)、棘下筋と小円筋は腕を外回転させて
前腕を外に広げる(外旋)、肩甲下筋は腕をうち回転させて前腕を内側へ閉じる(内旋)などで主に活動します。
関節安定化では筋肉を収縮させながら伸ばされる「伸張性収縮」なので、
筋肉を自ら出そうとする力で収縮させて短くする「短縮性収縮」に比べて桁違いの大きな力を発揮します。
◆骨格を動かす筋肉を鍛えるなら
そして、関節を安定させる準備が整ったら、まさに骨格を動かす大きな筋肉を素早く動かせるようにしたいものです。
その飛ばすために重要な速い動作で活動する速筋は、ちょっと工夫することでゆっくり動作させる中で安全に強化することができます。
筋肉は素早く動けるけれどすぐに疲れる速筋と、ゆっくりしか動けないけれど疲れにくい遅筋に分類できます。
そして、速筋を鍛えるためには、軽めの負荷で速く動かすウェイトトレーニングというのが一般的です。
しかし、おもしろいことに片道3~5秒程度ゆっくり動作させても、
それを緩めないまま行うなら速筋を鍛えることができます。
これを「筋発揮張力維持法」(LST:Low-intensity resistance
training with Slow movement and Tonic force generation)と言います。
そして、回数は使っている筋肉が疲れたと感じるまで行います。
楽なままでははやり効果は得られません。
そして、2セット以上はできるとよいです。
1回しかあげられない重量を1RM(Repetition Maximum)と言います。
LSTなら1RMの50%程度の負荷50RMで効果を発揮できます。
通常のウエイトトレーニングでの50RMは30回できる程度の負荷です。
LSTではそれぐらいの回数ができる負荷で、
1分間10回ぐらいの連続動作で疲れたなと感じる程度が目安です。
そして、次のような仕組みでゆっくり動いても速筋を鍛えることができます。
筋肉を収縮さるほど血管は押されて血流は低下し、低酸素状態に傾きます。
そして、筋肉は低酸素で活動するほど筋肥大します。
低酸素だと乳酸が発生し、乳酸の増加で成長ホルモンが分泌されることで筋肥大につながります。
腕や脚に加圧チューブを巻いて血流を低下させた状態で行う
加圧トレーニングも同じ原理になります。
50RMでのスロートレーニングなら週2回3ヶ月やると、
80RMの負荷で行ったのと同じぐらいの約6%の筋断面積増加と15%程度の筋力アップを得られます。
ゆっくりで軽くてよいなら、関節や腱とか当然のことながら筋肉にとっても安全でより怪我をしにくいことになります。
さらに、ゆっくりならリアルタイムで動きを確認できますから、正しいポジションで動き続けることも習得しやすいです。
さまざまな相乗効果でゆっくり動くことは最高です。
60歳を超えたらガシガシ重い重量をあげるのではなく、軽めをゆっくり動かすスローな動作での筋力強化をしっかりやりたいものです。
◆公園でもできる
また、ゴルフの上半身でしなりのエネルギーをためて
それを一気に爆発させることでボールを遠くまで飛ばすために一番使われるのが広背筋です。
広背筋は上腕の付け根の内側にある小結節稜に付着し、
体の中でも最も広く上半身の中では最も大きく最も長い筋肉です。
広背筋の作用としては腕と腕の付け根である肩甲骨全体を
下側へ引っ張り寄せるときに使われます。
さらに、腕を内側へ回転させる内旋作用があるので、
腕を内旋した状態にすることで腕と肩甲骨を安定して動かすことができます。
その広背筋を鍛えることはジムに行かなくても十分できます。
それは、公園などでの低い鉄棒での斜懸垂です。
ここでゴルフで使う広背筋の動きをできるだけ再現するためにチェックするポイントが2つあります。
(1) 順手
(2) 両肩甲骨を引き寄せるように斜め下へスライド
順手でやることで腕は内側へ回転させたポジションになり、上腕の内側につながっている広背筋を
まさにゴルフで使いたい方向へ鍛えることができます。
また、まさに肩甲骨をしっかりスライドさせることで
大きな力を精度よく発揮できますから、単に腕を曲げると言うよりも肩甲骨を動かすことを強く意識してやりましょう。
体を引きあげる最初で肩甲骨をスライドさせるようにしてから
腕を曲げる感じです。
そして、懸垂などを普通にやる動きでは収縮が遅い遅筋を発達させてしまう傾向にあり、ゴルフのスイングで使いたい
素早く収縮する速筋をあまり鍛えることはできません。
そこで、3秒ぐらいかけてゆっくり引きあげ、また3秒程度の速さでゆっくり最下点の少し手前まで降ろします。
これを1分間で10回ぐらいできるとスロートレーニングモードとなります。
そうすると、動きの遅い遅筋はもちろん、
実はゆっくり動いているにもかかわらず素早く動く速筋までも同時に鍛えることができます。
だいたい30回ぐらい動かせる負荷で2〜3セットできると効果的です。
斜懸垂なら体の角度を浅くすることで負荷を減らすことができます。
まずは、関節を安定化させる筋肉群をバランスよく強化し、それができてきたら大きなパワーを出す筋肉で
正しく骨格を動かすトレーニングもやってみましょう。
では、また。