上半身の中で飛距離に直結する筋肉はいくつかあります。
右腕は地味に縁の下の力持ちとしてがんばらなければなければ肩甲骨のパワーも発揮できません。
では、右腕はどうやって鍛えるとよいのでしょうか。
◆右腕は縁の下の力持ち
インパクトに向かってクラブは急激に振られて、ヘッドも一般男性の平均で40m/sですから時速で144km/hもの速度まで一気に加速されます。
そのときに、活躍するのは上半身では左肩甲骨周りの筋肉群です。
繰り返しますが、右腕は地味に縁の下の力持ちとしてがんばらなければなければ、肩甲骨のパワーが発揮できません。
ですので、ここで紹介する右腕の鍛え方、ぜひやってみて下さい。
◆右腕を下に向かって支える力
それは、右腕を下に向かって支える力を強化することです。
インパクトに向かって右腕はグリップに押されて、斜め下から突きあげられます。
そこで、イスやテーブルなどの高さのある物に右手を乗せて、右腕片手でネガティブワークでの片腕腕立て伏せをします。
右腕をまっすぐに伸ばした状態から、体を下ろせるところまでゆっくり下ろしてきて限界になったら左腕を使って落下を止めます。
10回を2~3セットできるとよいです。
◆使う角度で鍛える
そして、筋肉は実際に使う角度で鍛錬することで、鍛えた結果をパフォーマンスとして反映しやすくなります。
そこで、ダウンスイングしてきて右腕がシャフトに押されて耐えるときの、右腕の角度までは落下させることを目指してトレーニングします。
◆ネガティブワークとは
ところで、ネガティブワークとはターゲットとなる筋肉を伸ばしながら収縮させることで、「伸張性収縮」の状態で普段は出せないような筋力を発揮させて鍛える方法です。
筋肉を短くしながら収縮させる「短縮性収縮」に対して「伸張性収縮」では、それ単独でも約2倍の力を出せます。
そして、さらに動く速度が速くなると、2桁ぐらいまでの差となります。
また、インパクトでは右腕は自ら出そうとする力で伸ばすのではなく、シャフトに押されてその力を100%支えることで「伸張性収縮」の状態で使います。
そうすることが、能力限界までのパワーを引き出す要です。
◆インパクトでは左肩甲骨のパワーを受け止める
そして、まさにインパクトでは左肩甲骨は胸の方向にスライドしたポジションから、背中側へ向かってしなり戻ります。
それによって、左腕が引っ張られてグリップエンドを引きあげます。
そうすると、グリップエンドは力点となって、右腕を支点として作用点であるヘッドをテコの原理で加速します。
しかも、左手と右手の間隔に対して、右手からヘッドまではその何倍もの長さがあります。
ということは、インパクトでのテコの作用は、力の大きな左肩甲骨のスライド量をヘッドの動きの大きさに変換することに使われます。
そのため、左肩甲骨のスライドで発生する力を右腕でしっかり支えきれていなければ、左肩甲骨のパワーをすべてヘッドの加速に使うことはできません。
イスなどでなくても、台所や洗面場の高さ程度でも片腕で耐えられるところまでがんばると、意外に大きな負荷を得ることもできます。
日常のちょっとした高さのあるところを見つけて週に2~3回程度やっていると、飛距離が伸びてくることを感じることができます。
◆カッコいい胸なら別の角度
胸を大きく見せたいなら、角度は反対で上向にウェイトを持ちあげます。
まさに、胸の大きな筋肉である大胸筋の上側を鍛えることで、胸の形はよくなります。
その場合は、インクラインダンベルプレスなど、30度程度の傾斜のある台に上向きに寝てウェイトを持ちあげます。
ゴルフではトップに向かう切り返しで下半身を先行させることで、ヘッドの勢いと下半身の間に挟まれた上半身をしならせるときに右腕が耐える力を使います。
インクラインダンベルプレスなどなどでは、その方向の筋肉を鍛えることになります。
とはいえ、まずはインパクトでしっかり支えることのほうがより大きな力が必要になるので、まずは下向きに支える力をアップさせましょう。
◆インパクト前に右腕を伸ばさない
ところで、インパクトに向かって右腕は自ら出そうとする力では伸ばそうとすると、最大のパワーを発揮できません。
右腕を鍛えるのはこの意識的に伸ばす動きの強化ではなく、押されたことに耐える強さの増強です。
そういった意味でも押されることに耐えるネガティブワークで右腕を鍛えると実際に右腕が使われる状況に近く、インパクトでの右腕の使い方も正しい方向になってきます。
あくまでも右腕は伸ばされながらもそれに耐える使い方である「伸張性収縮」で、高速に動く中での最大パフォーマンスを出すようにしましょう。
◆伸張性収縮の大きな力
「伸張性収縮」と「短縮性収縮」は動きのない「等尺性収縮」状態での同じ大きさの力を起点として、「伸張性収縮」は「短縮性収縮」の2倍以上の力を発揮できます。
そして、、走り高跳びで蹴り脚では着地での脚の筋肉が伸ばされ脊髄反射による「伸張性収縮」で強い力が発生して筋肉が骨につながる部分にある硬い腱までもが伸ばされます。
そうすると、筋肉と腱が同時にしなり戻ることで爆発的なパワーを発揮する「伸張短縮サイクル」で大きなパワーを発揮しています。
階段を下るときでも、股関節には体重の10倍程度の力が発生し、その源は「伸張短縮サイクル」です。
「伸張性収縮」は「短縮性収縮」の2倍ぐらいの差までになりますが、それに「伸張短縮サイクル」も加わることで、1桁も2桁もの大きなパワーの差となります。
左肩甲骨の「伸張短縮サイクル」のパワーを右腕でしっかり受け止めるためにも、右腕を正しく強化しておきましょう。
