ボールを遠くまで飛ばすためには自ら出そうとする力ではなく、下半身の動きで上半身をしならせてそのしなり戻りを使うことがキーとなります。
そこで、スイングで上半身のしなり戻りを使えているときの感覚とは、どんな感覚でしょうか。
その本当の感覚がわかってきたら、あなたのインパクトは新たな次元へ突入です。
◆インパクトに向かって手では何もしない
その本来のしなり戻りの感覚とは、インパクトに向かって手では何もやっていないでフォローでリリースされる感じです。
また、しなり戻りとは伸ばされた筋肉が脊髄反射で勝手に収縮しようとする働きに任せることです。
そして、自分の意識でコントロールする要素はゼロになるほど、しなり戻りのパワーをすべて使えるようになります。
クラブは振らなければボールに当てられないというのが通常の感覚で、ついそのようなイメージでボールを手で当てにいってしまうものです。
しかし、ヒトには大脳で意識できること以外に、自律神経はもちろん脊髄反射や小脳などのコントロール下で動いていることは多いです。
その中でも力とパワーに大きく関係しているのが、脊髄反射です。
脊髄反射はまだまだ解明されていない点は多く、謎に包まれた反応です。
しかし、今わかっていることだけでもスポーツなどでのパフォーマンスの要であり、さらには通常の生活の中でも姿勢制御などでなくてはならない仕組みです。
まさに、階段を下るとき股関節には体重の10倍ぐらいの力がかかります。
これは想像できないし、まさかそんな衝撃力がかかっているなんて信じられないかもしれません。
しかし、それは計測された事実です。
姿勢制御では大脳からの命令で筋力を発揮しているわけではなく、脊髄反射で発揮されている筋力なのでそれを感じていないだけです。
そこで、ゴルフの動きの中でも最大のパワーを発揮したいインパクトでは、この脊髄反射による体のしなり戻りを使い倒すことでボールを遠くまで飛ばすことができます。
そのための感覚が、インパクトで手では何もしないで、フォローでリリースされる感覚です。
例えばサンド・ウェッジで50yぐらい飛ばすショットでの上半身の感覚は、フォローまでトップからダウンスイングでしなった上半身の形を変えないイメージです。
50yショットで極力トップでの形を変えないで、フォローでヘッドをアウトからインへ向かうループにするようなつもりでショットしてみます。
そうすると、インパクトに向かって前腕を左に捻ってヘッドを力で閉じながらクラブを振る動きを封印したショットになってきます。
さらに、インパクトで腰の回転力を絶対に緩めないつもりで、左脚での地面の蹴りをしっかり使います。
そうすると、まさに弓を引いてポンと手をリリースするように、インパクトに向かって上半身のしなりが一気にしなり戻って爆発します。
そして、インパクト近辺で前腕を左に捻っていないことでヘッドはインパクトで直線的に動き、フォローでヘッドはアウトからインへのループを描く感じになります。
そうやって練習していると、最初は50yぐらいのつもりが同じトップの大きさなのにだんだん飛距離が伸びてきて70yぐらいになることもあります。
自らは力でリリースさせないことで、インパクトでのハンドファーストが強く残った分だけロフトが立ちます。
それに加えて、しなり戻りをよりしっかり使えることで、しなり戻りのパワーを使えるようになって小さくなったロフトとパワーで飛距離が伸びます。
自分では振っていない感じであっても脊髄反射が爆発的パワーを発揮してくれますから、それを信じた瞬間に驚きの飛距離がやってきます。
ドライバーでボールを能力の限界まで遠くまで飛ばそうとするときも、フォローのイメージは同じです。
◆さらに小さな振り幅でやり始めてもよい
サンド・ウェッジで50yでやってみようとしてなかなか感じが出せないなら、もっと小さな振り幅でトライしましょう。
まさに、トップから上半身の形を変えないまま脚の動きだけでのインパクトです。
最初は15yも飛ばさないで、本当に脚の動きだけでちょこんとボールに当ててみることからはじめてみてもよいです。
そして、だんだんサンド・ウェッジで15yキャリー(SW15yC)ぐらいまでやってみます。
SW15yC以下では脊髄反射はほとんど発生しないことを利用して、手では絶対に打ちにいかない感覚を身につけることができます。
そこで、フィニッシュではトップでしなりはじめた形をキープできていることを確認しましょう。
右肘は曲がっていて、右手のひらも左ではなく前方45度ぐらいを向いていればよいです。
右腕を伸ばして前腕を左に捻ったインパクトをしていると、フィニッシュでは右肘は伸び手のひらも左を向きます。
こんなボールを飛ばそうとしない練習の中に、本当にボールを遠くまで飛ばすための脚と上半身の使い方の感覚がぎっしり詰まっています。
◆脚を使って腰を鋭くターン
また、インパクトでは腰のターンを絶対に緩めないで、むしろ最大限にターンさせます。
そのためにも、腰の回転に合わせて左脚を伸ばす方向を左後ろポケット方向へ向けていかなければ、左脚を伸ばすパワーを腰の回転にうまく伝えることはできません。
また、左脚を伸ばそうとして真上方向へ伸ばしても、腰は回転しないで単に伸びあがるだけになりますからこれは論外です。
私はいろいろなところで左脚を伸ばす方向は左後ろポケット方向だと言っているので、左脚を伸ばしはじめたときにその方向へ押し込めているケースは多いです。
しかし、腰の回転に合わせて左後ろポケットが向いた方向へ、常に押し込み続けているゴルファーは少ないのが現状です。
左脚を伸ばす方向は伸ばしはじめはターゲットと直角ですが、腰の左回転に従ってだんだんターゲット後方45度ぐらいのイメージでガッチリ伸ばしましょう。
小さな振り幅での練習でも、インパクトでの腰の回転力は絶対に緩めないことをかなり強く意識します。
小さな振り幅だとかちょこんとボールに当てればよいと考えて、脚まで動きを緩めてはいけません。
脚はスタンスの幅の中で必ず使い切りましょう。
スタンスの幅を広げるほど、股関節の入りは深くなってその分だけ脚を伸ばすことのできる量は増えてそれに連動して腰の回転角度も大きくなります。
スタンスの幅は広いほどバックスイングでの腰の回転角度は大きくなって、振り幅も自動的に大きくなります。
ちなみに、バックスイングなどで脚を捻る力を使っているとスタンスの幅を広げるほど腰は回転しにくくなりますから、脚をしっかり縦に使うことも重要です。
さらに、インパクトに向かっても左脚を伸ばすことのできる量が多くなって、より左脚のパワーがアップします。
それによって、スタンスの幅を広げるほど飛距離は連動して伸びます。
◆右脚にも注意
ここで注意しなければならないのは右脚です。
右脚は絶対に自ら出そうとする力で蹴らないようにします。
右脚のパワーを発揮させるのは、インパクトに向かって腕とクラブが振られた反作用である腰を右に回転させる力を100%受け止めるタイミングです。
ダウンスイングでいきなり右脚で地面を蹴って腰を回そうとして右膝がボール方向へ出る右膝外回りでは、この腰が右回転させられる反作用をしっかり受け止める体勢にできません。
そして、右脚で自ら出そうとする力で蹴ろうとすると、左脚で地面を蹴ることも疎かになります。
正しく脚を使ってインパクトに向かって腰を鋭く回転させるパワーを発揮することで、それまでじっくりしなりのエネルギーをためてきた上半身は爆発的にしなり戻ります。
まさに、下半身の動きで上半身の筋肉を急激に伸ばすほど、強い脊髄反射の発生で伸ばされた上半身の筋肉は急速に収縮してしなり戻ります。
下半身は上半身のしなり戻りのパワーに負けて動けなくなるぐらい、大きな力が上半身に発生してヘッドを走らせてくれます。
