リラックスしたら飛ぶ筋肉の仕組みって何?

今回は「リラックスしたら飛ぶ筋肉の仕組みって何?」というお話をさせていただきます。
筋肉は伸されようとしているときに、縮もうとすることが一番大きな力を素早く発揮することができます。
ゴルフのスイングで言うなら。。。

(続きはビデオにて)

■下半身で上半身をしならせている瞬間

ゴルフのスイングで言うなら、トップに向かう切り返しからボールヒット直前に向かって下半身の動きで上半身をしならせている瞬間に、そのチャンスが訪れます。
しなると言うことは、筋肉や筋肉が骨につながる腱が引き伸ばされている状態です。
その伸びている筋肉を縮める動きにすれば良いです。
この筋肉が伸ばされながら収縮しようとすることを「伸張性収縮」と言います。

他にもエキセントリックとか遠心性収縮などとも呼ばれていますが、私は「伸張性収縮」と呼ぶことが大好きです。
以前に筋肉には収縮の状態に3つあるというお話をさせていただいたことがありますが、ここで簡単におさらいします。
今お話した「伸張性収縮」もそのひとつの状態です。

他には、筋肉の長さを短くしながら収縮させようとする「短縮性収縮」、筋肉の長さが変わらない「等尺性収縮」の合計で3つです。
腕の筋肉の使い方で見ると、上腕の前側の上腕二頭筋に注目すると、物を手のひらに乗せてそれが落ちる方向の時は「伸張性収縮」です。
同じ高さに保つときは「等尺性収縮」で、持ちあげる動きでは「短縮性収縮」となります。
そして、力の大きさと発揮するスピードは「伸張性収縮」>「等尺性収縮」>「短縮性収縮」の順となります。

大きな力をできるだけ短い時間に発揮するほどボールは爆発的に飛ぶわけですから、ゴルフで使うなら「伸張性収縮」です。
ちなみに「短縮性収縮」の状態とは、例えばトップから自ら出す力で振りにいくようなときの力の出し方になります。
まさにがんばって力を自ら出して物を動かそうとすると、筋肉は縮みながら収縮する「短縮性収縮」となります。
ところが、リラックスして筋肉をしなやかに保った状態のときに、外からの力でそのリラックスした筋肉が引き伸ばされるときに収縮すれば「伸張性収縮」状態です。

そのため、飛ばしたいときほど上半身はリラックスさせて、下半身を目一杯使って下半身の動きで上半身をしならせることに専念します。
まずは飛ばしたいならセットアップに入るときにヘッドをポンと地面に落とすと、それだけで上半身はリラックスしやすくなりますからやってみましょう。
いいですか、飛ばしたいとき上半身をがんばらせるのではありません。
上半身はリラックス、下半身は目一杯、このことを口ずさみながらセットアップしましょう。

■勝手にしなり戻る仕組み

ところで、筋肉をリラックスさせていたらどうやってしなり戻ると言うか、どうやって縮めたら良いのかと疑問に思われるゴルファーも多いことと思います。
私も色々なところでこの筋肉が勝手に収縮しようとする仕組みについてお話していますが、何度でもお伝えしておくことにします。
それは、伸張反射と呼ばれる体の仕組みがあるからです。

筋肉には長さに反応するセンサーが入っていて、そのセンサーが伸されると脊髄には筋肉が伸されたことを示す信号が伝わります。
そうすると、脊髄では伸ばされた部分を、収縮させようとする信号を伸ばされた筋肉に送ります。
収縮しておかないと伸びき って切れてしまう事を防止する反応です。
これが「伸張反射」です。

そして、神経の伝達速度を見ると、ざっとした分類になりますが運動神経伝達速度 15〜40m/sに対して、伸張反射伝達速度 70〜120m/sとなっています。
これは伸張性収縮では、自ら縮めようとするよりも2倍以上ぐらい高速に伝わることを示しています。
それはそうです、そもそも伸張反射は筋肉が切れないための防衛反応でもあるわけですから。
さらに伸張反射は姿勢保持のための反射にもなっていて、変化に対して脳を介さずに素早く反応して一定の姿勢を保持することにも役立っています。

■脳のリミッターを外す

また、火事場の馬鹿力っ て、あなたも聞いたことがありますね。
火事場のような 限界の状況では、普段封印された力が全貌を現します。
普段の生活では脳は限界の力を出させないように、脳は体にリミッターをかけています。

リミッター とは、力を出し切ることのないようにある程度のところで止める働きです。
「伸張反射」により、伸ばされた筋肉は勝手に縮もうとします。
そして、この勝手に縮む仕組みには脳が介入せず脊髄から発 せられる反射ですから、脳のリミッターは効くわけがありません。
「伸張反射」なら、あなたの筋肉は本来持っている限界まで全身全霊をもって縮もうとしまます。

■自ら力を出そうとすると逆効果

そして、自ら筋肉を短縮させてしまうと、せっかくの筋肉の中の長さに反応するセンサーが反応しません。
さらに、伸びるのではなく短縮させてしまうと、まさに「伸張反射」の恩恵は全く受けることができなくなります。

そして、「伸張性収縮」での運動は、エネルギー効率が良いことで知られています。
「伸張性収縮」を使ってスイングしていれば、がんばって自ら力を出そうとして振っている場合よりも疲れにくいことになります。

■「伸張反射」を邪魔する反射もある

「伸張反射」の場合は、筋肉の長さに反応しました。
ところが、腱には力の大きさを測るセンサーがあります。

その腱のセンサーに力が加わるほど、脊髄反射で関連する筋肉の収縮を抑えようとします。
この反射を「ゴルジ腱反射」といいます。

「ゴルジ腱反射」は腱を守るための反応で、腱を引っ張る筋肉を緩めることで腱が切れることを防止します。
ところが実は、この「ゴルジ腱反射」が「伸張反射」でのパフォーマンスアップに逆行する仕組みとなります。
そして、「伸張反射」と「ゴルジ腱反射」を合算した結果で、筋肉の最終的パフォーマンスが決まります。

また、通常は「伸張反射」による筋力向上は「ゴルジ腱反射」でのマイナス効果よりは上回りますが、トレーニングの方法によってその差は大きく影響を受けます。
特に上級者ほど、ウエイトトレーニングで筋力を向上させても結果とはなかなか結びつきません。
それは、単なるウエイトトレーニングではこの「ゴルジ腱反射」が邪魔したままであり、「伸張反射」の作用を緩めるからです。

筋力トレーニングを始めたばかりでは絶対的筋力が急激に向上するので、ウエイトトレーニングでも効果が見られます。
しかし、ある程度筋力も付いている状態の上級者では、筋力向上はそれほど急激にはなりにくくなります。
そのため「ゴルジ腱反射」を抑えることを行わなければ、筋力向上がそのままパフォーマンスアップには結び付きません。
結果として「ゴルジ腱反射」ができるだけ発生しないように、神経系を慣れさせるやり方でトレーニングしなければ効果は期待できません。 
 
そして、「伸張反射」が発生する状態でトレーニングすれば、「ゴルジ腱反射」は抑制されるようになり結果がついてきます。
「ゴルジ腱反射」が無駄に発生しないためにどうすればいいか。
そのためには「伸張反射」が起きる状態で練習をします。
トップで上半身から先に振りに行ってしまうと「短縮性収縮」での動きとなります。
これでは「伸張反射」は発生しません。

トップに向かう切り返しにおいては「伸張反射」が起きやすいように、下半身から順に動くことが「伸張反射」を発生させるために重要です。
下が動いてそれに上がついてきて、左肩甲骨の後ろなどの腕を振る筋肉がじっくり伸ばされながら切り返すようにします。
このように「ゴルジ腱反射」を抑えて「伸張反射」を際立たせるためには、実際のゴルフスイングの中で正しく動くことが重要です。
ゴルフスイングではなくウエイトをあげるなど、筋肉を短くしながら筋肉を収縮させる運動では「伸張反射」は発生しません。

そのためウエイトトレーニングでは「ゴルジ腱反射」を抑制する神経系統には変貌できず、「伸張反射」の威力は発揮しづらくなります。
まずは、トップに向かう切り返しから下半身を先行させて上半身をしならせ、更に下半身の動きで上半身をしならせながらボールヒットに向かいましょう。
正しい動きでスイングすることが「ゴルジ腱反射」のマイナス効果を激減させる、一番のトレーニングです。
 
では、また。
 

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