今回は「距離余り練習で飛距離アップ」というお話をさせていただきます。
距離余りとは、手にしているクラブのフルショットよりも飛ばさない状態のことです。
たとえばサンド・ウェッジでのフルショットの飛距離が80yとしたなら、50yとか15yしか飛ばさないならそれは距離が余っているショットと言います。
(続きはビデオにて)
■距離余り練習で飛距離が伸びる理由
ところが実は距離余りのショット練習をすると、一生懸命フルショットしているよりも素早く飛距離が伸びてきます。
まさか、そんなバカなという感じでしょうか。
というのも、フルショットではトップから力で打ちにいこうとばかりしてしまい、本来のしならせてそのしなり戻りを使う動きからはかけ離れやすいからです。
そこで、ここでは距離余り練習をどのように行うと、飛距離に直結する体の動きを習得しやすくなるのかを見てみたいと思います。
■距離余りショットで飛距離を伸ばす動きを習得するポイント
距離余りショットで飛距離を伸ばす動きを習得するポイントは次の3つです。
(1)下半身はスタンスの幅の中で使い切る
(2)上半身は受ける力に徹する
(3)トップに向かう切り返しでの「間」を感じる
私はこれらのことはしょっちゅうお話しているので、耳にたこができたというゴルファーも多いとは思いますが、普段は聞き慣れないことだと思います。
特に受ける力だとか、「間」って何だとお思いのことかもしれません。
そこで、これらのポイントをサンド・ウェッジで50yに寄せるショット(SW50y)を題材に、順に見てみましょう。
■下半身はスタンスの幅の中で使い切る
通常ショットでの基本として、下半身はスタンスの幅の中で使い切るようにします。
使い切ることでコントロールしないで、できる限りの正しい動きをやりきります。
腰は何度ターンさせて手はこれぐらい振るなんてやっていると、下半身と上半身の分担の調整が入る分タッチ調整は難しくなります。
下半身を使い切る中で上半身はリラックスしてしならせてそのしなり戻りに任せることで、飛距離はもちろんスタンスの幅や動きの速さでタッチをつくることもできます。
下半身の動かし方は、実は単純です。
まさに階段を1段登る下半身の可動域を使えばトップで、もう1段登る可動域を利用すればボールヒットまでの下半身の仕事は終わります。
では、その下半身の具体的な動きを見てみますが、まさに耳にタコの方も多いでしょうけれどおさらいと思って聞いてください。
バックスイングでは右足の母指球の少し後ろで地面を踏みながら、右脚を伸ばすことを意識して右のお尻を右後ろポケット方向へ押し込みます。
ただし、セットアップでの上半身の前傾角度を維持する程度に右股関節を入れたままにします。
このように右脚を長く伸ばせば、の右サイドは斜め上にあがります。
さらに左脚はリラックスさせて骨盤の回転で左腰が右斜下に向かって落ちてくるようにしてみましょう。
そうすれば下半身の動きで、クラブはここにしかこないというところに運ぶことができます。
ボールヒットに向かっては左足母指球の少し後ろで地面を蹴るように踏みながら左脚を長くすることで、左のお尻を左後ろポケット方向へ押し込むと同時に両腿をキュッと締めます。
それだけで腰は鋭く左にターンして、上半身を急速にしならせることができます。
この動きをまずはSW50yで行い、脚を地面を縦に踏んで最高の効率で動く経験を積みましょう。
■上半身は受ける力に徹する
ところで、押されて押し負けている状態を「受ける力」で支えているとして表現します。
スイング中に上半身では手首を親指側に折るコック以外は、この「受ける力」だけに徹します。
それによって強い筋肉がある下半身の動きで上半身をしならせて、そのしなり戻りでボールを飛ばすことができます。
SW50yのバックスイングで下半身を使って動き始めると、体幹は前傾角度を維持しながら右にターンします。
このときに腕とクラブは置いていかれようとしますが、それに対して「受ける力」で置いていかれないように耐えようとしてみましょう。
極端にわかりやすく動くなら、ヘッドが一番最後に動く感じにすれば良いです。
ヘッドから遠いところから順に動けば、後は勝手に体はしなってきます。
まずはSW50yで、本当にヘッドを一番最後に動かすバックスイングをやってみましょう。
さらにはトップに向かう切り返しで下半身から先行して動いて、下半身に上半身が引っ張られるようにヘッドがトップに置いていかれる感じにしてみましょう。
そうすればスイングにおける「受ける力」を感じることができるようになります。
■トップに向かう切り返しでの「間」を感じる
そして、「間」という言葉は色々なところで使われますが、何とも言葉では表現しにくいことです。
しかし、「間」があることでひとつもふたつも上のレベルの動きに上達することができます。
ゴルフのスイングでもトップに向かう切り返しからダウンスイング序盤での「間」ができることで、スイングが簡単になって効率良く上達できます。
その切り返しで「間」を作るためには、先ほどお伝えしたようにトップに向かう切り返しで下半身を先行させて動かすことが第一です。
トップからいきなり手で振りに行ってしまうと腕や肩に力がはいって、腕とクラブは下に落ちにくくなります。
下半身を先行動作させることで上半身でクラブを振り回そうとしなくなれば、腕とクラブは重力で下に落ちることができて良い「間」を体験できます。
そして、下半身の先行動作としては、両脚で地面を踏もうとすることです。
トップでは右脚にかなりの体重がかかっています。
その体勢で腰を回そうとしても、うまく腰は前傾角度に従った斜め回転はしてくれません。
いったん両脚で地面をとらえる必要があり、それが両脚で地面を踏もうとする動きです。
両脚で地面を踏もうとするだけで、腰は前傾角度を維持してセットアップの向きへ自然に戻ってくれます。
そして、同時に両股関節も入ってきて、まさにこれから地面に対して大きなパワーを加える準備ができあがります。
また、ダウンスイング序盤でコックを深くしようとしても、良い「間」をつくることでできます。
コックを深くするコツは、手首と左肩の力を抜いて手元とクラブを下に落とそうとすることです。
このような距離余りのショットでスイングの基本をじっくり確かめながら、フルショットの動きに落とし込みましょう。
しなってしなり戻りを使えるようになるだけで、飛距離は勝手に伸びてきます。
■バックスイングで脚を使う理由
短い距離のショットだから手で打っても飛ばしたい距離飛ぶとしても、それでは本来のスイングつくりにはなりません。
距離余りでもドライバーで遠くまでボールを飛ばすときも、スイングの動きの基本を同じにします。
通常ショットはアプローチショットからバンカーショットもドライバーまでも同じ動きをベースとして、スタンスの幅の中で下半身を使い切りましょう。
実際アプローチでは、通常のクラブをパターのように使う下半身を完全に固定して肩甲骨のスライドだけでショットすることも行いますが、通常ショットでは脚を使い切ります。
そして、脚を捻る横方向への力ではなく骨格の方向に対して縦に使って地面をしっかり踏みしめる動きで、腰から上の体幹をターンさせることが基本中の基本です。
通常何も考えないでスイングすると、どうしても手が先に動きます。
手は器用で、その支配領域は脳の中でも広い範囲に渡っています。
そのため何かを行おうとすると、真っ先に手でやろうとする傾向があります。
しかし、手は器用で自由度が大きいがために、精度とパワーを要求するゴルフでは仇となります。
バックスイングでも手だと色々なところにクラブを運ぶことができますが、脚は自由度が少ない分動ける範囲も限定的になります。
逆に、そんなある意味不器用な脚が再現性の高いスイングを実現してくれます。
■受ける力は大きなパワーの源
筋肉の3つの動きでのパワーの違いを頭で理解しておくことで、パワーを出したいときの体の使い方が納得できます。
筋肉が伸ばされながら収縮しようとすることを「伸張性収縮」と言います。
筋肉の動かし方の分類は他には、筋肉の長さを短くしながら収縮させようとする「短縮性収縮」、筋肉の長さが変わらない「等尺性収縮」の合計で3つあります。
腕の筋肉の使い方で見ると腕を伸ばす場合は腕の後ろ側の上腕三頭筋が働きますが、上腕三頭筋に注目すると腕が押されて曲げさせられるときは「伸張性収縮」となります。
腕で物を押して動かないときは「等尺性収縮」で、押し動かしているときは「短縮性収縮」です。
そして、力の大きさと発揮するスピードは大きさ順で「伸張性収縮」>「等尺性収縮」>「短縮性収縮」です。
また、大きな力をできるだけ短い時間に発揮するほどボールは爆発的に飛ぶわけですから、ゴルフで使うなら「伸張性収縮」です。
ちなみに「短縮性収縮」の状態とは、例えばトップから自ら出す力で振りにいくようなときの力の出し方になります。
まさにがんばって力を自ら出して物を動かそうとすると、筋肉は縮みながら収縮する「短縮性収縮」となります。
逆に「伸張性収縮」は「受ける力」として表現することもできます。
まさに、押されて押し負けている状態です。
「受ける力」で力を発揮しているときが、最も楽に大きなパワーを発揮することができます。
これは気持ちと裏腹ですが、体の仕組みとしてしっかり頭に入れておくことでパワーを発揮するための体の使い方ができるようになります。
そのためにも、まずは距離が余ったショットで「受ける力」を使う基本を身に付けたいものです。
では、また。
